2013年6月12日水曜日

惡の華とか、たまにはアニメの話題とか

惡の華。今アニメでやってますけど、なんかすごい作品だなーっていうのは見てる人の多くが思っているようで、なかなか評判も良いようです。

最初はなかなかアニメーションの手法に目が慣れないし、話もいまいち方向性がくみ取れなくて見るのをやめようかとすら思ったのですが、10話あたりになっておもしろさも絶好調です。

個人的に評価しているのは心理描写の緻密さです。人をつついたらどう反応するかっていうのがかなり正確に描けていると思います。映像としてではなく、物語としてです。

昨今のアニメの原作に占めるラノベの割合というのが増えてますけど、多くのラノベ原作作品はそこがいまいちきれいに表現しきれていない。というよりも、作り手がそこに重点を置いていないのではないかと思います。

少なからずラノベに否定的な立場なので公平な物言いができないですけど、ターゲットの読者層にウケが良い作風にするには細かい心理描写よりも、もっとダイナミックな、魔法だとか改革だとか戦争だとかみたいなものを面白く書ける方が大事なのかなと思います(言い過ぎ)。

心理描写と書いてますけど、実際はちょっと違って、心の葛藤を描くみたいなのではなく、人として自然な反応をしているということです。

ここ何年かアニメは腐るほど見てきましたが、ギャグものとかラブコメものでなくても人間の性格的性質を正確に表現できていると感じたものは数えるほどしかありません。おそらく、それくらい難しいもので、需要もないのだと思います。

架空の物語を作るとき、登場人物(あくまで人)の性格を手段や手順はどうであれ決めると思いますが、多くの場合その設定の段階で人間に対する作者の偏見が反映されるものだと思います。

これまで会ったことのある人、性格をよく知っている人、あるいは自分自身など。自分の想像できない世界を書く事は非常に困難ですからある程度は仕方ないと思うのですが。

自分の知っている「人間」という像の中で物事を動かそうとすると少なからずバイアスのかかった(偏りのある)ドラマにしかならない。つまり、別の人(像を共有しない人)から見れば実際的ではないと見られるわけです。

その点、惡の華はかなり正常な(話の内容は一般的に見て相当異常なものだが)人間の動き方をしている。普通は、自分だったら、とか、こうあってほしい、こうだったら面白い、みたいな低次元の話ではなく、登場人物の根底の性格が一貫していて、ヒトらしさがうまく表現できている。という評価を今のところしています。

確か、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の前半でも似た事を考えてたものの、後半は驚くほど適当な感じになっちゃったものと記憶しています。

また、「アマガミ」、特に原作は異常なまでにヒトを上手く表現できています。アニメ版もそれなりに良いんですが、時間が限られてるし脚本の都合もあるのでしょう、ちょっと水で薄めた感じになっていたと思います。ぶっちゃけ、アニメ版の脚本か監督かが原作の意図を十分理解できていないものかと思ってます。

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